第55回フォトサーベイ集計結果
【参加者】
11名 (参加施設:8)
【解析結果】
46,XX,+1,dic(1;20)(p11;q13.3) ・・・・・2名
46,XX,+1,dic(1;20)(q10;q13.3) ・・・・・4名
46,XX,dic(1;20)(p13;q13.1) ・・・・・・1名
46,XX,dic(1;20)(p11;q13.3) ・・・・・・1名
46, XX, der(20)(q10;q13.3) ・・・・・・1名
46,XX,der(20)t(1;20)(q12;q13.3) ・・・・2名
精度管理委員からのコメント
症例は汎血球減少の精査目的にて骨髄穿刺が施行され,MDS(RA)と診断されています.
今回は参加者全員が20番染色体の異常を指摘しています.染色体を並べてみると正常20番は1本で,異常と考えられる染色体が1本残ります.確認すると異常な染色体は20番と思われる染色体の長腕末端部に1番染色体長腕部が結合しているのが分かります.動原体を証明する染色法としてはC-Bandが知られていますが,この症例においても,異常な染色体は2つの動原体を有する事がC-Bandで証明されています.よって,異常な染色体は1番染色体のセントロメアを含む長腕と20番染色体から構成された2動原体染色体であると考えます. 1番長腕がトリソミーの状態は,Myeloid系の血液疾患では10番,13番,14番,20番などの転座が報告されています1).
今回,期待した回答は1番染色体のセントロメアを含む長腕と20番染色体が結合した2動原体染色体です.核型記載は染色体数が46本であること,1番染色体が1本増えることになるので「+1」,1番と20番の2動原体染色体であるので「dic(1;20)」の記載が必要です.ISCN2013の 9.2.4 Dicentric Chromosomesに46,XX,+13,dic(13;15)(q22;q24))の記載例があります.今回はdic(1;20)(p11;q13.3)が切断点と考えられ,実際に報告した核型は,46,XX,+1,dic(1;20)(p11;q13.3)です.
1)Atlas of Genetics and Cytogenetics in Oncology and Haematology: http://atlasgeneticsoncology.org//Anomalies/t0821ID1019.html
(文責 高橋 裕之)