63回フォトサーベイ

◎ フォトサーベイの解析結果入力は締め切りました。

【症例の情報】 60歳代 男性 血液疾患 (材料:骨髄)

第63回フォトサーベイ集計結果

【参加者】
16名(参加施設:10)
【解析結果】
46,XY,t(9 ;22 ;11)(q34 ;q11.2 ;q13) .................15名
46,XY,t(9 ;22 ;11)(q34 ;q11 ;q13) ...................1名

精度管理委員からのコメント

 今回は慢性骨髄性白血病(Chronic Myelogenous Leukemia:CML)と診断された症例です.画像は1,2ともに300バンドレベルです.染色体数は46本で,9番,11番,22番染色体に構造異常が認められます.
この異常な3本の染色体を並べて考えていきます.まず22番染色が長腕の欠失のため小さい染色体になっていることに着目します.この22番染色体の異常の形態はCMLなどで見られるder(22)t(9;22)(q34;q11.2)(Ph染色体)を疑うことができますので,ここでt(9 ;22) 転座が生じているのではないかと考えます.次に9番染色体は,9番染色体のq34部分から下に11番染色体のq13→qterが付加していることがわかります.切断点が9q34であることがポイントです.最後に11番染色体は,長腕に細いdark bandが1本あることから22番染色体のq11.2→qterが付加していると考えられます.つまり,9q34に11q13→11qterが付加,22q11.2に9q34→9qterが付加,11q13に22q11.2→22qterが付加していることから,この3本の染色体が,9番→22番→11番→9番の順に切断と結合が生じた3点転座となります.
 3点転座の核型表記は,転座が生じている染色体の中で一番若い番号の染色体を先頭に記載し,先頭の染色体の転座相手を2番目に記載,2番目の染色体の転座相手を3番目に記載します.3番目に記載した染色体の転座相手は先頭に記載した染色体になります.( ISCN2016:p75~p76 Three-break rearrangements 参照)CMLでのt(9 ;22)転座の変異型は5~10%に認められるという報告があります.病型に関わるのは,Ph染色体つまりder(22)t(9;22) (q34;q11.2) になります.複雑に転座が生じると病型特異的な異常が隠れてしまうことがあります.解析している症例が何の疾患が疑われているか,臨床情報を収集しその疾患の染色体異常パターンを把握しておくことで,解析時の手助けになり隠れた異常を見落とさないと思われます.
 今回期待される回答は46,XY,t(9 ;22 ;11)(q34 ;q11.2 ;q13)です.
(文責 高井良美智代)

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