第67回フォトサーベイ集計結果
【参加者】
15名(参加施設:11)
【解析結果】
47,XX,t(7;11)(p15;p15),+8 ・・・・ 12名
47,XX,t(7;11)(p15;p15) ・・・・1名
47,XX,t(7;11)(p13;p14),+8 ・・・・1名
47,XX,t(7;11)(p13;p15),+8 ・・・・1名
精度管理委員からのコメント
今回は,MDSの診断で,7番と11番の相互転座を認めた症例です.
画像1,2ともに400バンドレベルです.並べてみると,染色体数47本であり,8番染色体が1本増加しているのが同定できます.染色体構造では,7番染色体の片方の短腕が短くなっています.細いdark bandである7p14は確認できますが,7番染色体短腕に特徴的なdark bandである7p21が確認できないため切断点は7p15であると推測されます.また,11番染色体の片方の短腕が長くなっています.dark bandである11p12,p14バンドは確認できますがその先のp末端に11番染色体短腕では認めない明瞭なdark bandが確認されるため切断点は11p15であると推測されます.11番染色体p末端の明瞭なdark bandは7番染色体の7p21と考えられ7番染色体と11番染色体の相互転座と同定できます.
t(7;11)(p15;p15)転座の多くは急性骨髄性白血病(AML:Acute myeloid leukemia),FAB分類ではAML-M2,M4などに認められますが,慢性骨髄性白血病(CML:Chronic myeloid leukemia)の急性転化の付加的異常や骨髄異形成症候群(MDS:Myelodysplastic Syndromes)にもみられる稀な染色体異常です.
7p15に座位するHOXA9遺伝子と11p15に座位するNUP98遺伝子との相互転座によりキメラ遺伝子NUP98-HOXA9mRNAが形成されます.
11p15に座位するNUP98遺伝子は,さまざまな遺伝子と相互転座を起こすことが知られており,転座相手によってAML ,MDS,治療関連白血病,T-ALL,リンパ芽球性リンパ腫など,さまざまな病型に認められます.また,7p15に座位するHOX遺伝子は正常な血球の分化と自己複製に関与する遺伝子であり,HOX遺伝子に異常が生じると分化や増殖の異常が惹起されます.
今回期待した回答は,47,XX,t(7;11)(p15;p15),+8です.
(文責;高原里枝)
参考文献
1) Atlas of Genetics and Cytogenetics in Oncology and Haematology :
http://atlasgeneticsoncology.org/index.html
2) The 2016 revision to the World Health Organization classification of myeloid neoplasms and acute leukemia.Blood 127:2391-2405,2016