62回フォトサーベイ

◎フォトサーベイの解析結果入力は締め切りました。

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【症例の情報】 50歳代 男性 血液疾患 (材料:リンパ節)

第62回フォトサーベイ集計結果

【参加者】
13名(参加施設:7)
【解析結果】
50,XY,+2,+7,+11,t(14;18)(q32;q21),+der(14)t(14;18) .................8名
50,XY,+2,+7,+11,t(14;18)(q32;q21),+der(14)t(14;18)(q32;q21) ........1名
50,XY,+2,+7,+11,+der(14)t(14;18)(q32;q21.3),t(14;18) ...............4名

精度管理委員からのコメント

今回は濾胞性リンパ腫(Follicular lymphoma:FL) (Grade2)と診断された症例です.画像1,2ともに300~400程度のバンドレベルです.染色体の重なりがなく分析しやすい画像と思われます.
染色体数は50本であり,4本過剰となります.構造異常のない過剰染色体はA群,C群相当の長さで,バンディングから2番,7番,11番染色体であることが同定できます.また,14番染色体長腕q32部分と18番染色体長腕q21.3部分に構造異常が認められ,相互転座t(14;18)(q32;q21.3)であると同定できます.14番染色体のみ同一の構造異常がもう1本認められるため,過剰な派生染色体,+ der(14)t(14;18)であると同定できます.
t(14;18)(q32;q21.3)はリンパ腫で見られる相互転座です.アポトーシス抑制遺伝子のBCL2遺伝子が免疫グロブリン重鎖のIgH遺伝子の脱制御を受け,細胞のアポトーシスが阻害されることにより腫瘍化の重要な役割をなすと考えられています.t(14;18)は濾胞性リンパ腫(FL)で70~95%,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)で20~30%に認められ,特にFLのGrade1~2では高頻度に認められます.FLではt(14;18)に加えて1,2,4,5,13,17番染色体に切断点がみられることが多く,また,+7,+18,3q27-28,6q23-26,17pに異常がみられることがあり,6q23-26,17pに異常があると予後が悪いとされています.
ISCN2016の核型記載法により同一再配列によって生じた余分な染色体が存在する場合,その切断点は繰り返して記載する必要はなく,最初に記載される核型のみの表記でよいとされています.また,異常を示す略語はアルファベット順に表示します.(ISCN2016:P40 4.2 Specification of Breakpoints 参照)
核型表記において,臨床への理解しやすさを重視し,50,XY,+2,+7,+11, t(14;18) (q32;q21.3), +der(14)t(14;18)と派生染色体を後に記載する施設が見うけられますが,今回期待される回答はISCNの核型記載に準じ,50,XY,+2,+7,+11, +der(14)t(14;18)(q32;q21.3),t(14;18)です.
(文責 高原里枝)
参考文献
1)木崎昌弘,田丸惇一編集,押味和夫監修:WHO分類第4版による白血病・リンパ系腫瘍の病態学.中外医学社,東京,2009
2) Jean McGowan-Jordan ,‎ A. Simons ,‎ Michael Schmid :ISCN 2016: An International System for Human Cytogenomic Nomenclature (2016) ,S Karger Ag,switzerland,2016

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