61回フォトサーベイ

◎ フォトサーベイの解析結果入力は締め切りました。

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【症例の情報】 20歳代 男性 血液疾患 (材料:骨髄)

第61回フォトサーベイ集計結果

【参加者】
16名 (参加施設:10)

【解析結果】
47,XY,+8,i(17)(q10) ..................15名
47,XY,+8,idic(17)(p11.2) ...............1名

精度管理委員からのコメント

今回はMDSが疑われた症例です.
画像1,2ともに300~400程度のバンドレベルです.画像1では2本の染色体が重なっていますが,それぞれ特徴的なバンドが確認でき,1番染色体と4番染色体であることがわかります.
染色体数は47本と,1本過剰です(数的異常).並べてみると,過剰の染色体はC群相当の長さで,バンディングから8番染色体と同定できます.400バンドレベルでは8番長腕のバンドはあまり明瞭ではなく,q12とq21.1~q21.3,q23の3本のバンドが識別できる程度です.この中でもq23のdark bandは細いながらも濃く染まる傾向があり,これら3本のバンドの中では最も目立ちます.同じC群の10番染色体と間違えやすいのですが,10番は動原体に近いq21.1~q21.3のdark bandがとりわけ濃く染まる傾向があり,鑑別の一助となります.
次に,正常の17番染色体が1本しかないことがわかります.代わりに,C群相当の長さながら染色体の中部に動原体があり,そこを境に上下に対称なバンディングの染色体を1本認めます.これを正常の17番と比較してみると,q22~q24.3にかけてのdark bandを両腕に認め,さらにq12と動原体付近のq11.1のバンドも確認できます.つまり,動原体q10を境に17番染色体の長腕どうしが結合した同腕染色体i(17)(q10)と同定できます.
+8はCML,MDS,PV,ALL等で広く認められ,疾患特異性の低い数的異常です.MDSでは15~20%で認められるとされています.i(17)(q10)も,AML,CML,CLL,MDS等で付加異常として認められることが多い構造異常ですが,MDSでも3~5%に認められるとされています.
MDSの予後予測システム「IPSS-R(Revised International Prognostic Scoring System:IPSSの改訂版)」では,核型(染色体異常)がリスク分類のための予後因子の一つであり,+8およびi(17q)は「Intermediate(中間)」とされています.
今回期待される回答は,47,XY,+8,i(17)(q10)です.
(文責 佐藤かおり)

参考文献
1) Atlas of Genetics and Cytogenetics in Oncology and Haematology
:http://atlasgeneticsoncology.org/
2)Revised International Prognostic Scoring System (IPSS-R) for Myelodysplastic Syndromes Risk Assessment Calculator
:https://www.mds-foundation.org/ipss-r-calculator/

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