66回フォトサーベイ

◎ フォトサーベイの解析結果入力は締め切りました。

【症例の情報】 35歳 男性 血液疾患 (材料:骨髄)

第66回フォトサーベイ集計結果

【参加者】
19名(参加施設:11)
【解析結果】
46,XY,t(6;11)(q27;q23) ・・・・ 12名
46,XY,t(6;11)(q27;q23.3) ・・・・ 1名
46,XY,del(11)(q23) ・・・・ 4名
46,XY,add(11)(q23) ・・・・ 1名
46,XY,t(9;11)(p21.3;q23.3) ・・・・ 1名

精度管理委員からのコメント

今回は,AML(M5)の診断で,6番と11番の相互転座を認めた症例です.
画像1,2ともに400バンドレベルです.並べてみると,11番染色体の片方の長腕が短く,11q22のdark bandは確認できるものの,11q23のlight bandから長腕末端(11qter)までが欠失しています.従って,11q23すなわちKMT2A(MLL)遺伝子を含む領域を切断点とする転座を念頭に置き転座相手を同定することになります.11q23の転座相手は非常に多いため注意深く観察する必要があります.異常の11番では,11q22以降長腕末端までの領域が非常に小さいことから転座相手のごく小さな領域が再結合していると思われますが,それより比較的大きい11q23から11qterまでの領域が再結合している転座相手は,正常に比べて染色体長が若干長いものと考えます.6番染色体の片方の長腕がやや長く見えることから,正常の6番やISCNの400バンドレベル模式図とバンドパターンを比較してみると,比較的明瞭なdark bandである6q16,q22,q24とやや不明瞭なq26を認めますが,その下に正常の6番では認めない細いdark bandを認めます.これが11番由来と考えられることから,切断点を6q27と同定します.
11q23領域にはKMT2A(MLL)遺伝子,6q27領域にはAFDN(MLLT4もしくはAF6ともいう)遺伝子が座位しています.KMT2A(MLL)遺伝子はクロマチン修飾関連遺伝子の一つで,細胞増殖を促す遺伝子を調節する働きがあります.造血幹細胞や前駆細胞ではKMT2A(MLL)遺伝子の働きによりにより細胞増殖が亢進し,成熟細胞では
KMT2A(MLL)遺伝子の働きが低下するため細胞増殖が停止します.先述のように,KMT2A(MLL)遺伝子は多岐に渡る遺伝子と融合遺伝子を形成することが知られており(KMT2A(MLL)遺伝子再構成),発現したKMT2A(MLL)キメラ蛋白による無制限の細胞増殖亢進が白血化に関与するとされています.
KMT2A(MLL)遺伝子の表記について,WHO分類第4版では「MLL」と表記されていましたが,2017年版では「KMT2A」の表記が推奨されており,切断点についても,第4版の「11q23」からより詳細に「11q23.3」と変更されています.
11q23を切断点とする転座の確認や定量評価の方法としてFISH法が有用です.また今回の症例のように,転座相手の切断点が染色体末端近傍のためG分染法では同定が難しい場合には,metaphaseでFISH法を実施することも核型決定の一助となります.
今回期待した回答は,46,XY,t(6;11)(q27;q23.3)です.
(文責;佐藤かおり)
参考文献
1) Atlas of Genetics and Cytogenetics in Oncology and Haematology :
http://atlasgeneticsoncology.org/index.html
2) The 2016 revision to the World Health Organization classification of myeloid neoplasms and acute leukemia.Blood 127:2391-2405,2016

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