学会ニュース28:大学臨床検査技師養成課程の教育に携わって !

学会ニュース28:大学臨床検査技師養成課程の教育に携わって !

「初めまして」、の方が多いかと思います。佐藤謙一と申します。私は、千葉大学医学部附属病院検査部にて、血液検査業務、遺伝子検査業務に携わり、2013年4月に現職、国際医療福祉大学福岡保健医療学部医学検査学科の開科に伴って異動して参りました。臨床検査のなかでも、特に遺伝子関連検査に関わることが多く、所属学会として当学会の他には、日本臨床衛生検査技師会(標準化委員会)、日本遺伝子診療学会(ジェネティックエキスパート認定制度委員会)、日本臨床化学会(遺伝子専門委員会)、日本人類遺伝学会(教育推進委員会臨床検査学卒前モデルカリキュラム作成タスクフォースメンバー)、日本臨床検査医学会、日本臨床検査自動化学会になります。また、認定臨床染色体遺伝子検査師(遺伝子)と一級遺伝子分析科学認定士の認定を受けております。恥ずかしながら、当学会会員であるものの、何度か学術集会に参加した程度の幽霊会員で、会員の皆様の前で表現をすることには恐縮しているところですが、上野理事より、どんな内容でもよいので、と学会ニュースの執筆依頼を頂戴し、筆を執りました次第です。
臨床検査の現場から技師養成教育の場に業務が移り5年目を迎えました。この3月には当学から初めての卒業生・検査技師を輩出いたしました。ここでは、教育の場に移ってからのこの4年と少しの間に感じたことを述べさせていただきます。
当学、医学検査学科には、医学部や薬学部入学を目標としていた学生から、中学高校とほとんど勉強すること無く、大学受験勉強なしにAO入試や推薦入試で入学してきた学生まで、また、少なくはありますが、レポートの書き方などしっかり鍛えられてきた、高等教育での勉強方法が身についている高専卒業生がいるなど、とても多様性に富んでいます。入学直後から、「基礎生理学」、「生化学」、「解剖学」といった検査技師にとって重要な専門基礎科目が始まります。高校で「化学」や「生物学」を履修していない学生もおり、入学後開講される「化学」と「生物学」では、高校での学習領域を振り返りながら講義をすすめております。専門基礎科目と高校での学習領域とが並行して進行することには、基礎の理解が乏しい学生にとっては大きな負担となっています。反して、しっかりと受験勉強をして高等教育に期待を持って入学した学生にとっては、今更こんなことを勉強するのか、と面白くない場合もあります。施設の中で限りある教員のマンパワーが、中高校で学ぶべきことの指導に充てるより、充実した専門科目指導のためや、向学心あふれる学生に資格試験を越えた本来の高等教育をするために発揮したい、と感じてしまうこともあります。私の学生時代は、講義では、教員自身の研究のことやその教員の哲学や思想など、直接教科書の内容とは関係のない話しをされ、時間の最後に今日の内容は教科書◯◯ページまでだから各自よく勉強しておくように、と言われたことが少なくなかったと記憶しています。(好き勝手に話していると感じたなかに勉強する上での大きなヒントやモチベーションアップのためのネタが含まれておりましたが。)大学は自分で勉強するところという認識が刷り込まれておりました。
時代は変化しています。マインドチェンジしなければなりません。今後、子供の数が減ることは明らかな事実であり、今以上に多様化した学生が入学してくることになるでしょう。中高で得ているべき学習内容の指導から、資格取得とそれを超えた本来の高等教育を提供すること、医療人・検査技師になることへのモチベーションを持たせること、など高い指導能力が求められます。入学の経緯はどうであれ、入学したどの学生にも、臨床検査の仕事を面白そうだと感じてもらい、これで飯を食っていくのだと覚悟を持って卒業し、検査技師なることで幸せな社会生活を送って欲しいと願い、その一端を担うことができればと思っております。
とりとめのない文章となってしまいましたが、皆様、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

PDF版はこちら 矢印 学会ニュース第28号

国際医療福祉大学
福岡保健医療学部医学検査学科
佐藤 謙一

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