学会ニュース26:臨床での利用が進む遺伝子関連検査

学会ニュース26:臨床での利用が進む遺伝子関連検査
–Webの活用と人材育成–

新緑の候,会員の皆様におかれましては,ますますご健勝のこととお慶び申し上げます.このたび,奥山虎之先生の理事長指名により新理事に就任いたしました長田誠と申します.微力ではございますが,日本染色体遺伝子検査学会の発展に尽力して参りますので,何卒よろしくお願い申し上げます.
最初に自己紹介をさせていただきます.大学病院にて約30年間臨床検査の現場で働きながら血小板の研究を行っておりました.昨年,大学教員として教育・研究に従事すべく転職いたしました.教育の難しさを感じながら,研究を実施できるよう努力しています.現在,ジェネティックエキスパート認定制度の委員として認定試験に関与していますが,今後さらに臨床での利用が進む遺伝子関連検査において,検査結果の解釈等を正確に行うためのWebの活用と人材育成を行うジェネティックエキスパート認定制度について簡単に説明したいと思います.
さて,遺伝子関連検査は,「病原体遺伝子検査」,「ヒト体細胞遺伝子検査」,「ヒト遺伝学的検査」の3つに分かれており,ヒト体細胞遺伝子検査はがん細胞など子孫に継承しないもので,ヒト遺伝学的検査は子孫に継承する可能性があるものです.ヒト遺伝学的検査の情報は,一個人にとどまらず家系に及ぼす影響があるため間違いは許されず,また,誤解を招くような情報も伝え
てはいけないため,解析された情報を現場の医療者に正確に伝え,誤った解釈をしないようにする方策が必要です.そのためには,ヒト遺伝学的検査結果を正確に解釈し,情報を伝達することのできる高度な知識と技術を有する遺伝子解析担当者が必要となります.
このような遺伝子解析担当者の必要性から,日本遺伝子診療学会において,2010年9月に「高度な知識と技術を有する遺伝子解析担当者認定制度」が立ち上がり,2013年11月に「ジェネティックエキスパート認定制度」となり,2015年7月に第1回認定試験が実施されました.この認定制度の目的は,『遺伝学的検査,体細胞遺伝子検査などヒトを対象とした遺伝子関連検査や遺伝情報を取り扱うにあたり,適切に情報を選択して検査・解析結果を正確に解釈し,検査・解析の精度管理に携わるとともに,検査法の開発を主導できる専門家を養成・認定する』ことであり,特徴として「ヒトを対象とした遺伝子関連検査や遺伝情報を扱い,次世代シーケンサーなど時代に即した人材の育成を目指し,筆記試験のみならず各種オンラインデータベースを使用した臨床遺伝情報の検索実技試験を行う.」などがあり,とてもユニークな資格となっています.
ジェネティックエキスパートと連携する医療者としては,遺伝学的検査を解析依頼する診療医師,解析し結果を報告する遺伝学的検査解析者(臨床検査センター等),カウンセリングを行う臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーなどがあり,この中間で「解析依頼の情報を適切に選択しているか」を確認し,「解析結果を正確に解釈して,正しく伝達する」ことがジェネティックエキスパートに求められることであると考えます.そのために必要なのが,高度な知識と技術を持ちWebを活用できる人材です.
次世代シーケンサーからの大量データを処理し,見いだしたバリアントが疾患の原因なのか,単なる個人差(多型)なのかを判断するためWebを活用します.よく利用されるインターネットサイトは,NCBIのPubMed, OMIM, BLAST, Gene, ClinVarやEnsemble, UCSC, HGVD, Gene reviews, wANNOVAR, COSMICなどがあり,これらの使用方法に関して「臨床遺伝情報検索講習会」を年2回実施しています.講習会の内容に関しては,以下のURLにPDF資料が添付されておりますので,ご確認下さい.
http://www.congre.co.jp/gene/frame/f_workshop.html
遺伝子関連検査領域の機器や技術の発展は目覚ましく,臨床への利用が進む中,遺伝情報の解釈や情報伝達に関して的確に実施する必要があります.そのための資格として「ジェネティックエキスパート」があり,この人材を育成することにより新しい時代の遺伝医療に対応していけると考えます.
最後になりますが,本学会の多くの会員にジェネティックエキスパートの重要性を理解いただき,認定資格を取得していただきたいと考えています.興味のある会員の方,認定試験を受験されてはいかがでしょうか.

日本染色体遺伝子検査学会 理事
群馬パース大学保健科学部検査技術学科
長田 誠

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