学会ニュース25:ISO15189認定施設における染色体・FISH検査の教育

ISO15189認定施設における染色体・FISH検査の教育
~新人のトレーニングについて~

第3号でもISO15189認定施設における染色体・FISH検査の教育について述べましたが、今回は続報としてお話しします。
ISO15189認定施設では国際標準検査管理加算40点を加算できるようになってから、最近では大学病院をはじめとして取得に向けて加速しているように思われます。「取得」よりも「継続」が大変で実に悩ましいということを昨年の静岡学術総会と合同開催された静岡県遺伝子研修会でもお話ししましたが、教育の「継続」についてもPDCAサイクルを常に心掛けておく必要があります。
力量の評価、まずISOでは一定の能力が必要な業務、いわゆる「特定業務」としての業務の設定を行います。当検査室の染色体・FISH検査に関する特定業務は、培養、標本作製操作、分染法、先天性染色体分析操作、腫瘍性染色体分析操作、写真撮影関連操作、核型貼付、核型決定、FISH法操作、異性間FISH、FISH法観察(悪性リンパ腫関連)、FISH法観察(悪性リンパ腫関連以外)、遺伝子変異検査、染色体・遺伝子の受付から結果報告までのLIS(検査システム)作業があり、取得条件は、作業の手順を理解しており、適切に作業ができることです。
トレーニング期間中は、まず半年ごとに目標設定を行い、専任教育チェックリストを用いて要員の力量をチェックし、教育の
効果を継続的に評価しています。処理手順であれば、標準作業手順書(SOP)をみて理解すれば作業が行えますが、経験的判断も必要な核型決定となるとそうはいきません。例えば、血液像の形態では“核網が繊細で”“細胞質が好塩基性で”、などの表現を用いて説明指導すると思いますが、染色体ではバンドレベルに応じたバンドの読み合わせが「目あわせ」として必要となってきます。
トレーニングの第一段階は、正確に正常核型の核板が作成できることです。間違った並べ方だった場合には、認定臨床染色体遺伝子検査師等の資格をもった経験者が、正しい番号の染色体のバンドパターンを示しながら解説し、バンドの特徴を教え、繰り返し認知させます。染色体8、9、10番染色体がどの核板でも正しく並べられ、正常核型が理解できれば、認定の目安だと考えています。
次に、顕微鏡でメタフェーズをスケッチして、染色体番号とp,qを書き込んでもらいます。確認方法は核板と同じです。ステップアップとして、病型特異的染色体転座の症例、複雑な染色体異常というように進めていきます。検体の受付から報告までのフローが理解できるようになれば、症例を担当させて、責任を持たせることもスキルアップには大切なことだと考えます。
FISHの観察においても、異常パターンが検体によって異なることを理解させることは大事です。融合シグナルプローブでは、正常パターンと通常の融合シグナルパターン、さらに異なった融合シグナルパターン、数の異常パターンがあります。FISHのシグナルパターンだけではやはりイメージがわかないことも多いでしょうが、G-bandが理解できていれば、異なった異常シグナルパターンが理解できるはずですので、染色体結果を一緒に提示してみせることは大事だと思います。
染色体・FISHの結果は自動報告とは異なり、臨床に報告する際にアドバイスが求め
られる分野でもあります。臨床データ、血液像、FCM、病理診断などの情報を集めて、結果を判断する力も必要になります。遺伝子分野は新情報が日々発信されており、アンテナをはることは大事です。指導者もトレーニング要員も、専門的能力を高めるためには学会、研修会の参加は必須であり、ISOの評価としてスキル維持の証明にもなります。
今年は天理開催です。染色体・遺伝子の専門学会である本学会で知識と技術のレベルアップを目指し、是非、皆さん参加して天理学会を盛り上げましょう。

PDF版はこちら 矢印 学会ニュース第25号

日本染色体遺伝子検査学会 理事
社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院中央臨床検査センター
佐藤悦子

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