学会ニュース21:遺伝子・染色体分野における教育・研究の取り組み 〜 一大学教員として 〜

遺伝子・染色体分野における教育・研究の取り組み 〜 一大学教員として 〜

新春の候、会員の皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。このたび、上野一郎事務局長のご退職にあたり、事務代行として新理事に就任いたしました大星航と申します。誠に微力ではございますが、当学会の発展・繁栄に尽力して参りますので、ご協力の程よろしくお願い致します。また、私の活動拠点であります香川県高松市で開催されました第33 回総会・学術集会では多数の会員の皆様にご参加いただき感謝致しますとともに、この場をお借りし、大会長ならびに実行委員の皆様のご尽力に厚く御礼申し上げます。
さて、僭越ながら、ここで私が大学教員としての取り組んでいる教育・研究について、自己紹介を兼ねて紹介させて頂きます。私はおもに分子生物学、遺伝子検査学、免疫検査学および輸血移植検査学の各実習を担当しております。分子生物学実習では目的の遺伝子領域の塩基配列を解析するために、PCR 増幅産物をプラスミドにインサートし、コンピテントセルにトランスフォーメーション後、プラスミドを精製してシークエンス解析を行っています。臨床遺伝子検査学実習では、BCR/ABL キメラmRNAの検出、サザンブロットハイブリダイゼーション、ABO 式血液型のジェノタイピング、染色体検査およびFISH 検査などを実施しています。染色体検査では、こどもとおとなの医療センターの曽根先生(理事)より、直接ご指導を頂いております。私の担当するすべての実習に共通して、できるかぎり多くの専門的な手技を学び、その過程で生じる様々な問題に学生が取り組むことで、将来学生が臨床検査業務や研究を行う際に必要な科学的思考力と問題解決能力を養いたいと考えています。また、遺伝子染色体検査に興味を持った学生には遺伝子分析科学認定士の受験を奨め、より専門的な知識や臨床現場に沿った講義を行っています。
一方、私は免疫学を専門としており、現在、NK 細胞の細胞表面マーカー、細胞傷害活性、サイトカイン産生能などについて研究しています。遺伝子解析が私の研究に深く結びついたのは、いくつかの免疫学の専門誌のaim and scope に「Immunogenetics」という単語がたびたび出てきたからです。これは、免疫応答や免疫細胞の機能にユニークな遺伝子や遺伝子多型が深く関わっていることを意味しています。私はこれまで、NK 細胞の抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)に影響するSNP について、日本人を対象として詳細な解析を行い、FcγRIIIa-F158V 遺伝子型間の変化を報告しました(Hum Immunol.2015)。また、これまで報告のあったSNPに加え新規に2 つのfunctional SNP についてADCC への関与を明らかにしました。現在はNK 細胞が産生する細胞傷害顆粒であるgranzyme B をコードするGZMB 遺伝子内のSNP について、細胞傷害活性への影響について検討しています。国内では__こうした免疫応答と遺伝子多型の関連を解析することをアプローチとしたImmunogenetics 領域の研究は広く行われていませんが、およそ70%の疾患で何らかの免疫異常が関与しているといわれている現在、疾患関連遺伝子やファーマコゲノミクスなどに並び、今後「Immunogenetics」が遺伝子解析分野で注目されると期待しています。臨床研究として、臨床材料を用いた新規臨床検査試薬・検査法の開発やバイオマーカーの比較、LDT(Laboratory Developed Test)検査の改良などが求められると思いますが、私も臨床検査技師として臨床現場の方に興味を持っていただける研究を進めていきたいと考えています。
最後になりますが、遺伝子染色体検査に熱い情熱を注ぎ、日々ご尽力されている本学会会員の皆様方に少しでも追いつけるように日々研鑽を積み、また、将来の臨床検査を担う学生に遺伝子染色体検査の魅力を伝えることで本学会並びに遺伝子染色体検査分野を盛り上げていく決意でございますので、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

PDF版はこちら 矢印学会ニュース第21号

日本染色体遺伝子検査学会 理事
香川県立保健医療大学
大星 航
(oboshi@chs.pref.kagawa.jp)

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