69回フォトサーベイ

◎ フォトサーベイの解析結果入力は締め切りました。

【症例の情報】 68歳 男性 血液疾患 (材料:骨髄)

第69回フォトサーベイ集計結果

【参加者】
14名(参加施設:8)
【解析結果】
46,XY,der(15)t(1;15)(q12;p13)  ・・・・・5名
46,XY,+1,der(1;15)(q10;q10)  ・・・・・4名
46,XY,der(15)t(1;15)(q11;p11)  ・・・・・4名
46,XY,+1,dic(1;15)(p11;p11)  ・・・・・1名

精度管理委員からのコメント

今回は骨髄形成症候群(myelodysplastic syndromes :MDS)と診断され,白血化の後,移植後再発した症例です.画像1,2ともに300程度のバンドレベルであると思われます.参加者の全員が1番および15番染色体が関わる構造異常を指摘されていました.
染色体を並べて見ると,正常の1番染色体が2本,正常の15番染色体が1本と15番染色体の短腕に1番染色体の長腕が接続した構造異常染色体が1本あるのがわかります.その構造異常染色体は,1番染色体の1q12領域は確認できますが,1q12からセントロメアにかけての領域にはわずかに距離があり,1q11→1q12のバンドではないことが考えられます.15番染色体の15p11.1から1q12に繋がるその領域は15番染色体の短腕領域と考えられることから,15番染色体の切断点は15p13,1番染色体の切断点は1q12であると考えられます.
der(15)t(1;15)は,MDS,急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia : AML),急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia : ALL),多発性骨髄腫(multiple myeloma : MM)など,さまざまな造血器疾患で報告があります.切断点はder(15)t(1;15)(q11-12;p11-13)およびder(15)t(1;15)(q21-25;p10-13)など多数の報告があり,疾患特異的な構造異常も含め他の構造異常を複合して持つ症例が多く報告されています.不均衡型転座による1番染色体長腕の過剰により,治療の抵抗性や腫瘍の進行に関与し,予後不良であるとされています.
本症例の切断点について,多数の切断点の回答があり,判定が困難であったことが窺えました.今回の切断点の決定方法については報告した核型に準じて解説しておりまが,本症例のバンドレベルでは詳細な切断点を断定することは難しく,切断点を決定する考え方の一つとして参考にしていただけたらと思います.
今回の報告核型は,46,XY,der(15)t(1;15)(q12;p13)です.
(文責:鈴木翔太)
1) Atlas of Genetics and Cytogenetics in Oncology and Haematology :
http://atlasgeneticsoncology.org/index.html

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