学会ニュース3:ISO15189 認定施設における染色体・FISH 検査の教育について

ISO15189 認定施設における染色体・FISH 検査の教育について

現在,「染色体遺伝子検査の品質保証のための指針」(以下;指針)が本学会ホームページに公開中です.その中で,染色体検査の教育について「新人教育は個人指導を基本とする.検査工程ごとに到達目標を定め,一定期間の訓練の後に評価する.特に習得に年単位の時間を要するカリオタイプ作成と核型記録については,正常核型がほぼ正確に並べられる,典型異常が認識できる,FISH 法やPCR 法など関連検査と合わせた評価ができるなど,進歩に応じた具体的な評価基準を内部で設定しておくことが望ましい.」の記載があります.そこで学会ニュースに寄稿するにあたり,本学会の指針を踏まえて当検査室の教育体制に
ついて紹介したいと思います.

まず,私の所属する検査室は62 名の検査技師と2 名の事務員で構成され,2007 年に臨床検査室の品質と能力に関する特定要求事項に関する国際規格であるISO15189 を取得し,病院としては2012 年にISO9001 を取得しました.ISO15189 では,“検査を実施する要員は必要な技能と専門知識を有していることを確実にする必要がある”ことより,特定の業務資格なるものを設定する必要があります.ここで“特定の業務”とはある一定の能力が必要な業務を言います.例えば,“○○の検査が正確にできる”,“○○機器のメンテナンスができる”といった資格要件を明確にし,業務範囲を規定します.業務評価に関してはレベル1から4 までの段階があり,“1 では何もできない,2 では教えてもらえればできる,3では標準作業書があれば一人でできる,4 では指導ができる”という設定です.特定業務資格の認定はレベル3,臨床側にアドバイスサービスができる能力はレベル4 に相当します.

訓練においてはチェックリストを用いて確認し,年に一度,スキルマップというシートを用いて教育の効果を可視化して評価しています.専任業務以外の採血や夜勤などの共通業務についても“特定業務資格認定の一覧表” を用いて管理されています.更新は2年単位ですが、新たに資格が取れれば随時報告して書きこむスタイルで,その一覧表をみれば何の業務ができるかが一目瞭然でわかるシステムです.利点としては 教育の進行状況を把握できると同時に,仕事の人材配置が円滑に行えることです.

当検査室で設定した染色体・FISH 検査に関する特定業務には,受付関連,培養・標本作製操作,先天性・腫瘍性染色体分析操作,写真撮影関連操作,核型決定・報告,FISH 法操作,FISH 法観察・報告があります.染色体検査では指針にあるように年単位の教育が必要であり,「正常核型がほぼ正確に並べられる」までには,“大まかにA 群からG 群,性染色体が並べられる”から“C 群の8,9,10 番染色体を正確に並べられる”,“A 群,B 群の上下が正確に並べられる”などのステップアップ項目のチェックも欠かせません.

FISH 法の観察ではプローブの種類によって難易度が異なるため,観察の“特定の業務”は3 種類(異性間,悪性リンパ腫関連,白血病その他)にわけて順次取得するようにしています.異性間FISH は数か月で取得できますが,悪性リンパ腫のFISH 法の観察は症例
ごとに様々で,病型特異的転座の融合シグナルであっても異常染色体の欠失あるいは増幅といった場合があり,観察症例数も多く必要と考えています.

前述の指針に「検査報告書を作成する技師は認定資格を取得していることが必要である.」と明記されていますが,ISO15189 の2012 年版では5.1.9 に専門的資格の記録が追加されています.やはり品質保証のうえでも関連学会などの認めた認定専門技師が重要視されているところであり,認定技師の資格は“必要な技能と専門知識を有している”明確なスキルの証明といえます.

さらに「可能な限り外部精度管理事業に参加し外部評価を受ける.」との指針内容はISO15189 の要求事項でもあります.本学会ではフォトサーベイが毎月(今年より2 か月に1 回)実施されていますので,これを利用することによって正しい核板,核型決定の外部評価を受けることが可能です.個人のスキルアップとともに検査室の品質保証にも結び付けることができますので,今後,認定臨床染色体遺伝子検査師(染色体)受験予定のかた,ISO15189 取得の計画予定でまだトライされていない施設は是非利用してみてください.

詳細はこちら 矢印 学会ニュース

日本染色体遺伝子検査学会 理事
社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院
佐藤悦子

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